レポート・Web版
<レポート・Web版> 摂った栄養が脂肪に 栄養所要量では健康を維持できない

「あなたをセンテナリアン(健康百寿者)にする10の栄養新知識」
はじめに
<序章> なぜ、日本は「不健康長寿国」になってしまったのか
・日本人の不健康度
・生命寿命と健康寿命
・「マクガバンレポート」
・「食の欧米化」はプラス要因
・「微量栄養素不足」は危機的状況
<本章> あなたを健康百寿者にする10の栄養新知識
1. なぜ、摂った栄養が脂肪になってしまうのか
2. なぜ、栄養所要量で健康を維持することができないのか
3. なぜ、キレる日本人が急増しているのか
4. なぜ、「一日30品目」摂っても足りないのか
5. なぜ、日本と米国では売れ筋のサプリメントが異なるのか
6. なぜ、特定の栄養素だけでは効果を期待できないのか
7. なぜ、日本で入手できる情報だけでは足りないのか
8. なぜ、薬とサプリメントが共存しているのか
9. なぜ、健康に投資することが必要なのか
10. なぜ、寿命が延びているのにアンチエイジングが必要なのか
番外編・米国人超健康シニアの教え
終わりに
(付録) サプリメント選びのポイント

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「あなたをセンテナリアン(健康百寿者)にする10の栄養新知識」
はじめに
なぜ、日本は「不健康長寿国」になってしまったのか
・日本人の不健康度
・生命寿命と健康寿命
・「マクガバンレポート」
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・「食の欧米化」はプラス要因
・「微量栄養素不足」は危機的状況
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あなたを健康百寿者にする10の栄養新知識
1. なぜ、摂った栄養が脂肪になってしまうのか
2. なぜ、栄養所要量で健康を維持することができないのか
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3. なぜ、キレる日本人が急増しているのか
4. なぜ、「一日30品目」摂っても足りないのか
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5. なぜ、日本と米国では売れ筋のサプリメントが異なるのか
6. なぜ、特定の栄養素だけでは効果を期待できないのか
7. なぜ、日本で入手できる情報だけでは足りないのか
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8. なぜ、薬とサプリメントが共存しているのか
9. なぜ、健康に投資することが必要なのか
10. なぜ、寿命が延びているのにアンチエイジングが必要なのか
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番外編・米国人超健康シニアの教え
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終わりに
(付録) サプリメント選びのポイント
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(テキスト版)
1. な ぜ 、 摂 っ た 栄 養 が 脂 肪 に な っ て し ま う の か
「そもそも、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素はなぜ必要なのでしょう?」という質問をさせていただくと、「健康になるため?」、「肌がキレイに…」、「骨が丈夫になる!」などの答が返ってきます。
確かに、その類の本やテレビ番組では、「ビタミンCは○○に効く!」、「ビタミンEは△△に効果大!」、「カルシウムは◇◇に良い!」など、それぞれのビタミン・ミネラルの、個々の効能が盛んにアピールされていますね。私もある方から、「身体の各器官の働きをスムーズにするため! だからビタミンは身体の潤滑油で~す!」というすばらしい回答をいたただいたこともありました。なるほど、中学の家庭科の教科書では、「主に体の調子をととのえるもの」と説明されています。
もちろん、全て正解です。しかし、「なぜ必要なのか?」という質問に対する答えとして、是非、覚えておいていただきたいのは、「『新陳代謝』と『エネルギー代謝』に欠かすことのできないものである!」ということです。
新陳代謝とは、「食べたものから肉、骨、血液などを作ること(身体の古い細胞が新しい細胞と入れ替わること)」です。そして、エネルギー代謝とは、「食べたものから生きていくためのエネルギー(身体を動かす、頭を働かせる、体温を維持する…)を作ること」です。
ですから、ビタミン・ミネラルが足りないと、焼肉やトンカツ、ハンバーグをいくら食べても、血肉は作ることができません。ご飯や麺類を食べても、ケーキを食べてもジュースを飲んでも、身体を動かすためのエネルギーは作ることができません。
「いくら運動してもさっぱり痩せない…」、「食事はしっかりとっているのに身体が重く感じて、何となく元気が出ない…」、「体重は標準範囲内なのに体脂肪は基準値を大きくオーバー…」などは、ビタミン・ミネラル不足により代謝がうまくいっていない時の典型的な症状。摂った栄養を使いたくても使えないのです。
また、「身体に悪い」と言われるファストフード、スナック類、コーラやジュース等の問題の本質は、単にカロリーが高いことではなく、その高いカロリーに対し、それを代謝するためのビタミンやミネラルがその食品に全く足りていないことにあります。
佐藤務先生の著書にわかりやすく書かれていますので、ご紹介してみましょう。日本で初めて健康の維持増進を目的に設立された外来である千葉県稲毛病院「健康支援科ビタミン外来」の健康支援課部長・佐藤務先生は、全国から講演依頼の絶えない人気のお医者様です。
佐藤先生の著書から引用させていただきます。
(佐藤務著『サプリメント・マニュアル』/光文社)
「例えば、ファストフードのハンバーガーを昼食として食べた場合、ハンバーガー一個にポテトのSサイズが一個、それにシェイクを一本のハンバーガーセットの総カロリー数は790Kcalとなります。栄養バランスは炭水化物などの糖質が全体の六割弱、脂質が三割、残りがたんぱく質となります。これに対して副栄養素のビタミンB1は三つ合わせても、0.20mgしかありません。現在の栄養学では、850Kcalを代謝するのに、ビタミンB1は最低でも、 0.33mg以上は必要とされていますので、運動の有無にかかわらず、すべてのカロリーの代謝は無理です。つまり、ハンバーガーセットには、摂取したカロリーを代謝できるだけの副栄養素が含まれていないということです。」
では、代謝できなかったカロリーはどうなるのでしょう? そうです。脂肪として蓄えられてしまうのです。
ビタミンやミネラルのサプリメント、特に『マルチビタミン・ミネラル』と呼ばれる様々なビタミンやミネラルが配合されたタイプの総合サプリメントや、『ビタミンBコンプレックス』と呼ばれるビタミンB群の総合サプリメントなどを摂ることによって、身体が引締まったり、肥満が解消したりすることがあります。ダイエットを目的に作られたサプリメントでないにもかかわらず、そのようなことが起こるのは、ビタミンやミネラルを補うことによって代謝が正常になり、食事から摂った栄養をしっかり使い切ることができるようになるからなのです。
もちろん、ビタミン・ミネラルを十分に補給することは、メリットの多い効果的なダイエットの手段として用いられています。
佐藤先生の著書から、再び引用させていただきます。
(佐藤務著『サプリメント・マニュアル』/光文社)
「このビタミンを有効に取り入れたダイエットには、中高年のダイエットでよく見られる、肌のシワやたるみが出来にくいというメリットもあります。ビタミンを補給することで新陳代謝が活発になり、肌がきれいになり、疲れにくくなり、風邪もひきにくくなり骨密度も高まるなど、美容や健康面の改善も期待できます。」
さて、その一方で、最近、食事代わりにサプリメントを飲んでいる方がいらっしゃるそうですが、たんぱく質や糖質などの材料がなければ身体やエネルギーを作ることはできませんから、食事を疎かにしてビタミンやミネラルのサプリメントだけを摂っても意味がありません。これは確実に健康を損なうライフパターンです。
ご参考までに、最近話題の『メタボリック症候群』についてもひと言。
内臓脂肪症候群と呼ばれることもあるメタボリック症候群(Metabolic Syndrome)ですが、そもそも「メタボリック=Metabolic」とは「代謝」という意味です。つまりそれは、「代謝異常によって引き起こされる様々な症状」ということ。メタボリック症候群の予防・改善には、ビタミン・ミネラルを十分に摂って代謝を正常にすることが非常に重要なのです。
2. な ぜ 、 栄 養 所 要 量 で 健 康 を 維 持 す る こ と が で き な い の か
『栄養所要量』という言葉に聞き覚えはありませんか?
「所要量」という単語を国語辞典でひくと、「あることをするのに必要とされる量」と書かれています。日本では長い間、栄養素の摂取量に関して、厚生労働省が定めていた『栄養所要量』を基準に考えていました。そしてその結果、「日本人は必要とされる量をギリギリ満たすビタミン・ミネラルは摂取できているだろう」ということになっていたのです。栄養指導や給食計画などの基準としても、この栄養所要量が用いられていました。
しかし、ここで確かめておきたいことがあります。それは、栄養所要量の場合、「あることをするのに必要とされる量」の「あること」とは一体何を指しているのか…です。
その答えは、「欠乏症を防ぐこと」。つまり、栄養所要量は「欠乏症を防ぐための量」として定められたものなのです。厚生労働省の資料には、「欠乏症を防ぐための必要量=所要量」とはっきり記されていました。
欠乏症とは、皆さんもご存知の脚気(ビタミンB1欠乏)、壊血病(ビタミンC欠乏)、夜盲症(ビタミンA欠乏)、クル病(ビタミンD欠乏)などのことです。しかし、これらはビタミン不足の、言わば末期症状であり、放っておくと死に至るほどの重い病気です。確かに、現在の日本でこれらの欠乏症が問題になることはほとんどありません。
では、「欠乏症にならないこと」は、「健康を維持していくこと」とイコールなのでしょうか。
答えは「No!」です。
今度は栄養療法を主体とした全人的医療を目指しておられるライフクリニック院長・山口武先生の著書から引用させていただきましょう。
(山口武著『こんなサプリメントが欲しかった』/主婦の友社)
「現代のようにもののあふれた時代に、ビタミンの欠乏症なんてあり得ないと思っている方が多いのではないでしょうか。ビタミンの欠乏症と一般にいわれているのは、脚気や壊血病ですが、それは放っておくと死亡するほどの重い病気です。」
「ビタミンやミネラルは欠乏症さえ起こさない程度に摂っていればいいのだと考えられていましたし、現在でも、日本の大部分の学者や医師たちも同じ考え方をしています。しかし、(中略)例えば、ビタミンCは、単に壊血病を治すだけではありません。インターフェロンを増やしたりして免疫系を強化したり、体の組織を酸化から守ってくれたり、コラーゲンという皮膚、アキレス腱などの腱、軟骨を構成するタンパク質をつくる補助の役割をしたり、コレステロールを胆汁に変えて体の外に出す役割をしたり、ニトロソアミンという発癌物質を無害化するなど、実にさまざまな働きをしていることが分かってきました。ビタミンCのこうした恩恵を受けるには、ただ単にRDA(推奨栄養摂取量)や所要量を摂っていればいいわけではありません。」
末期症状である欠乏症が現れる前の段階で様々な影響が現れることが、既に多くの研究により明らかになっています。つまり、所要量では、欠乏症を防ぐことはできても、生涯にわたって「健康を維持」し、「老化の影響を抑え」て、「病気を防ぐ」ことはできないということです。
したがって、今、私たちが問題にしなければならないのは、「健康を維持するための量」=「保健量(=所要量の数倍から数十倍)」の不足なのです。
マクガバン・レポートの発表から約30年の月日が流れた2005年、厚生労働省はそれまでの考え方を大幅に改め、1970年から用いてきた『栄養所要量』を廃し、 『食事摂取基準』というものを新たに策定しました。しかし、基準が変わったからといってすぐに世の中が変わるわけではありません。実際、関係者でも栄養所要量から食事摂取基準に改定されたことを知らない方も少なくないようですから、まだまだ栄養所要量を基本にした考え方、栄養指導は続くでしょう。そして、ドラッグストアやコンビニには、栄養所要量を基準に設計された欠乏症を防ぐためのサプリントが並び続けることでしょう。
加えて、栄養の専門家の主張する世界レベルの基準と比べると、新たに策定された食事摂取基準も、まだまだ満足できるものではありません。なぜならば、日本の栄養学は食品に含まれる個々の栄養素の研究がベースであり、言い換えればそれは、単なる「食品科学」でしかないからです。栄養素と生理学、あるいは医学との関連の研究学問、すなわち「臨床栄養学」は、日本ではまだ完全には体系化されていないようですし、また、食品に含まれる栄養素の追求ばかりで、それを受ける側の消化・吸収能力、ストレス、遺伝的個体差などの影響も一切考慮されていないのが現状です。
「日本の栄養学は世界の栄養学に比べ25年から30年は遅れている」…残念ですが、これは国内外の多くの専門家が指摘するところです。


